物流・eコマーストレンド

マラソン記念品クレームのリスク管理

2025-12-24

現場のストーリーをお届けする「リアルログ」です。今回は、ランニングブームによって新たな全盛期を迎えているマラソン運営の現場で、実際に起きている話をご紹介します。

「最近のマラソンって、コンサートチケット並みに申し込みが難しいんですよね?」

ここ数年、マラソンは前例のない人気を集め、ランニングブームの中心的存在になりました。ソウル東亜マラソンやJTBCソウルマラソンのような主要大会は、エントリー開始と同時に定員に達し、ハーフや10kmといった負担の少ないコースも「先着チケット争奪戦」のようにあっという間に締め切られてしまいます。まさに、マラソンの大衆化時代が到来したと言えます。

この熱気は一過性のトレンドにとどまらず、一つの文化として根づきつつあります。2025年時点で、年間のマラソン大会数は約400件に迫り、季節を問わず全国各地で開催されています。特に、20〜30代MZ世代の積極的な参加や、SNS上で活動するランニングクルーの広がりによって、マラソンは「一人で走る」だけでなく「一緒に走り、コミュニケーションする」趣味として楽しまれるようになりました。完走そのものよりも、その過程を記録し、シェアする文化が大きくなっているのです。

それに伴い、マラソンの記念品に対する期待も高まっています。Tシャツ、ゼッケン、完走メダルは、単なる配布物ではなく、参加者一人ひとりの達成を象徴する記念品として見なされます。しかも数量限定で制作されることが多く、コレクションとしての価値も高く評価されています。一方で、参加者数が増えれば増えるほど、「ゼッケンが届いていない」「Tシャツだけ入っていなかった」といったクレームも増加します。実際の同梱漏れだけでなく、一部の参加者による意図的な重複受け取りの試みまで発生し、運営側にとっては頭の痛い問題になっています。

そこで本稿では、マラソン運営代行会社、スポーツブランド、グッズ販売企業、グッズ取引プラットフォームなど、さまざまなクライアントとの打ち合わせを通じて、現場で頻繁に挙がる共通の悩みを整理しました。マラソンのように参加者が数千〜数万人規模で、記念品のコレクション価値が高い産業であればあるほど、「誰が何を受け取ったのか」という受け取りに関する混乱は、ブランドの信頼を揺るがしかねないデリケートな問題になります。

マラソンブームがもたらす、運営側の新たな悩み

本当に同梱漏れか、虚偽の依頼か判断が難しい出荷現場

多くの運営チームは「ほとんどのお客様は善意でお問い合わせくださいますが、判断が本当に難しいケースもある」と話します。マラソンの記念品は数量が決まった、いわば限定品に近い存在であり、参加者の記録や達成感を象徴するものでもあります。そのため、「届いていない」という申し出があれば、簡単に無視することはできません。しかし、数万件におよぶ出荷の中で、どの件が本当の同梱漏れで、どの件が単なる行き違いなのか、あるいは意図的な二重受け取りの試みなのかを、一件一件見極めるのは現実的にほぼ不可能です。

もう一セットあれば、友だちと一緒に走れるから」

マラソン運営側がよく直面するケースは、例えば次のようなものです。ある参加者が大会に申し込み、ゼッケンとTシャツを受け取った後、「届いていない」と連絡し、再送を依頼します。追加で送られたゼッケンは、友人やパートナーと一緒に大会に参加するために使われます。そして、大会当日になって、同じエントリーに紐づいたチップが複数検出されることで、その事実が発覚するのです。

さらに、SNSやフリマアプリなどを通じた記念品の売買事例も少なくありません。大会規模が大きくなり、参加者数が増えれば増えるほど、運営側にとって真偽を見極めるのはますます難しくなっていきます。

CSチームは毎回、説明・説得・対応に追われて疲弊してしまう

こうした問い合わせが積み重なると、カスタマーサポートにも大きな負担がかかります。同梱漏れや誤配送があったと主張するお客様に対しては、状況説明、再送可否の検討、宅配業者への確認など、何度もやり取りを重ねなければなりません。その過程で、実際にミスがあったケースへの対応がかえって遅れてしまうこともあります。出荷時の状況を把握できる客観的な記録がなければ、対応スピードも、お客様からの信頼も、どうしても低下してしまいます。

運営負荷を下げる実践的な方法――「見えない問題」を「見える化」する

同梱漏れや誤配送に関するクレームには、「目に見える証拠」が必要です。

数千件規模の出荷が行われるイベント運営の現場で、最も混乱を招くのは、「そもそも本当に梱包したのかどうか」さえ判断できない状況です。そうした状態で、追加数量や転売目的と思われる虚偽の再送依頼が入ってくると、運営コストだけでなくブランドイメージにも影響を与えます。このような場面で最も重要なのは、担当者それぞれの「記憶」ではなく、「誰が見ても確認できる証拠」です。

梱包内容の確認からテーピング、封筒の封緘に至るまで、出荷プロセス全体を高画質の動画で記録しておけば、特定のお客様からクレームが入った際に、その注文の出荷状況をすぐに確認できます。動画記録は、クレームの真偽を判断するための客観的な基準となり、テキストデータだけでは説明しにくい場面でも、「目で見て確認できる記録」が、運営の公正さと信頼性を支える土台になります。

CS・運営・物流チームが、それぞれバラバラに動く必要はありません

従来のように、CSチーム、運営チーム、物流チームがそれぞれ別々に動き、情報をやり取りする構造では、対応時間が長くなり、お客様の不満も溜まりやすくなります。一方、梱包プロセスが動画で記録されていれば、すべてのチームが同じ映像を共有できます。つまり、問題が発生した際に、同じ動画データを基準としてリアルタイムにコミュニケーションを取ることができるのです。

どの商品が、どの順番で梱包されたのか、特定のアイテムが抜けていなかったかを、全員が同じ基準で即座に確認できるため、CSの品質向上はもちろん、社内コミュニケーションのスピードも大きく改善されます。

記録が残れば、信頼も残る

マラソンやランニングは、単なるブームを超え、一つの文化として定着しました。参加者は「走ること」だけを目的にしているのではなく、さまざまなイベントやブースを楽しみ、その場での体験や思い出を積み重ねています。その分、ゼッケン一枚、Tシャツ一枚にも、ブランドへの信頼や満足感が込められるようになりました。

運営規模の拡大にともなって発生する記念品トラブルは、単なる梱包上の問題ではありません。ブランド全体の信頼を守り、運営チームとお客様の双方の時間を守るための「仕組み」の問題でもあります。だからこそ、事実確認が難しい運営現場を、その状況に合わせた動画記録システムによって、はっきりと「見える形」で管理することが重要になってきました。問題を「目に見える動画データ」で解決できるようになれば、対応も日々の運営も、ずっと軽くしていくことができます。

プロのコンサルタントが語る、イベントグッズ運営のリスク管理術

マラソンのような大規模イベントでは、記念品の同梱漏れや誤配送の問題が、そのままブランドイメージに直結するケースが少なくありません。記念品への期待が高いからこそ、届けるプロセス自体も徹底的に管理する必要があります。

出荷の瞬間を正確に記録し、その記録を根拠として対応できる仕組みをつくること――。お客様との信頼関係を守るということは、最終的には「誰が見ても明確な、真実を共有できる体制」を整えることから始まります。そうして初めて、繰り返し起こる混乱の中でも、「このイベントは公正に運営されている」という安心感を参加者に届けることができるのです。

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